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新着一覧

2019.11.14

研究と報告 136  原発災害避難自治体の現況と復興、自治の課題 -2019年度自治体調査結果の概要- 角田英昭(自治体問題研究所)

 現在、東日本大震災・福島第1原子力発電所事故に伴い全域避難を余儀なくされた双葉郡各自治体の帰還と復興対策が進められています。置かれている条件、状況は異なりますが、どの自治体も帰還促進に向けた早期の復旧復興、地域再生、地域経済振興、避難者の生活支援、財政及び推進体制の確立、広域連携など多岐にわたる問題に取り組んでいます。しかし、帰還の現実は厳しく期待通りには進んでいません。
 こうした状況を踏まえて、自治体問題研究所と福島自治体問題研究所が2019年7月に双葉郡の原発災害避難自治体(浪江町、葛尾村、大熊町、双葉町)で行った調査からは、この地域の復興・復旧、帰還問題は、何よりも原発事故という特殊な問題に起因しており、それ故の厳しさがあること。また各町村、住民、関係者の努力により一歩一歩前進していますが、課題は多く、時間がかかることなどが明らかにされています。
2019.10.07

「季刊 自治と分権」77

 今号は「各国にみる公共サービスの破壊」というテーマで、国際シンポジウムの内容を基に特集を企画しました。新自由主義による民営化はイギリス、韓国、アメリカとも共通していますが、一方で欧州では、水道などいったん民営化した事業を再公営化したり、ソウル市では市が雇用する非正規労働者を正規職員化するなど、新自由主義への対抗軸となる新しい動きが現れていることにも注目すべきでしょう。
2019.08.06

研究と報告 135  現代日本の地方財政と税源偏在問題  関野満夫(中央大学経済学部教授)

 近年、日本の地方財政では、安定的な地方税源を確保するという名目で地方消費税の増税が進んできた。その一方で、地方法人2税(法人事業税・法人住民税)については、地域的偏在性が大きく、かつ東京都への税収集中をもたらしている、という現実の中でやや複雑な偏在是正措置も取り入れられてきた。本稿では、現代日本の地方財政における税源偏在問題の実状を、東京都への地方法人税源の集中の背景にも注目して、整理がされています。
2019.06.26

研究と報告 134 2018年「指定管理者制度導入状況等調査」結果の概要と課題、今後の取組   角田 英昭(自治体問題研究所)

 公の施設の指定管理者制度が施行されてはや15年になります。総務省が2019年5月に公表した調査結果によれば、2018年4月現在76.268施設に導入されており、今回初めて減少に転じましたが、導入後の状況を見ると、それは「公の施設」のあり方、制度運営、当該の施設で働く人達、利用者・住民に大きな影響を及ぼし、制度の抜本的な見直しは緊急の課題になっています。
 本稿では、2018年「指定管理者制度導入状況等調査」の結果を踏まえて、改めて指定管理者制度の運用の実態と問題点、課題を明らかにしています。
2019.06.26

「季刊 自治と分権」76

 新自由主義のもとで広がる格差と貧困、公務の民営化・非正規化による労働者の不安、住民サービスの低下など国民生活をめぐる課題は深刻さを増しています。世間では天皇の代替わりによって元号が変わり、「令和最初の○○」と、まるで新しい時代が始まるかの雰囲気が作られています。
 特集では、公務公共サービスの産業化について、その変遷と対抗軸が示されており、現場レポートでは、学童保育事業、介護保険認定給付業務における民間委託との闘いと教訓が報告されています。
2019.04.16

研究と報告133 文化財の保存から活用へ 現状と課題   泰井良(静岡県立美術館上席学芸員、美術史家)

 「アベノミクス」に象徴される政府の経済政策は、大企業や高額所得者を優遇し、労働者や国民の生活・福祉を軽視するものに他なりません。同様に、文化政策においても、政府は、「稼ぐ文化」に傾倒し、文化財の保存・継承よりも、活用を優先させるという偏った政策に舵を切ろうとしてます。
 本稿では、政府の主な文化政策の現状と課題を分析したうえで、今後の文化財及び文化政策、美術館・博物館は、どうあるべきかについて考察しています。
2019.03.27

「季刊 自治と分権」75

 辺野古の埋め立て強行、10月からの消費税率の引き上げ、憲法9条改悪議論など、国民要求と安倍政権による国政の乖離がより鮮明になってきています。参議院選挙を7月に控え、いま国と地方の進路が問われています。特集では、「安倍政権の9条改憲」「米軍基地問題と日米地位協定」「消費税」の側面から国と地方の進路について問いかけています。
2019.01.29

研究と報告132 「平成30年7月西日本豪雨」による愛媛県内の被害状況と課題 高尾佳孝(愛媛労連副議長/自治労連愛媛県本部 執行委員長)

「平成30年7月西日本豪雨」による愛媛県内の被害状況を県内でも被害の特に大きかった大洲市・西予市・宇和島市の3市での、発生要因や被害内容さらには地域特性による課題などを詳しく説明。平成の大合併によって「市」の規模は大きくなる一方で、職員数は大きく削減。こうした状況で今回のような広域かつ大規模災害が発生した場合、避難誘導や避難所開設など、住民の命を守る基本的な対応に大きな課題があることが露呈。
職員は災害発生直後から極限状態で住民の命を守るために懸命に活動し続けましたが、それでも野村地区で5人の尊い命が失われてしまいました。
 本稿では、改めて本来あるべき自治体の役割と、それを担うだけの職員数について考える必要性と、もう一つの命の砦である医療体制の課題や、災害時におけるライフラインの確保、職員の確保の観点からも早急な対策の必要性を明らかにしています。