2015.10.01 季刊 自治と分権 61 「季刊・自治と分権」61号を発行しました。晴山一穂先生の随想「『全体の奉仕者』の淵源を求めて」は、「日本国憲法の制定過程に関心を抱き、関連する書物や資料を読みふけっている」という書き出しで始まります。その「きっかけは、公務員に関する憲法15条2項の『全体の奉仕者』規定はいったい誰が発案し、どのような過程を経て憲法に盛り込まれることになったのかを知りたいと思い立った」からだそうです。 保母武彦先生は、「政府の『地方創生総合戦略』の基本認識は『地域の活性化で雇用の場をつくれば人が移動するという古びた考え』」と批判し、経済の豊かさではなく、「心の幸せ」「働き甲斐」「生き甲斐」を求めて若者がやってくる、海士町の事例などを紹介し、中山間地域の小規模自治体の「新しい人の流れ」に注目しています。 桑田但馬先生は、岩手県の沿岸部および北部・西部における内発的な取組みを紹介。村上博氏は、自治体間の連携は、『中枢都市』に『近隣市町村』が事実上従属する上下関係ではなく、市町村と都道府県による二層制の地方自治保障の充実が求められると、広域連携の問題点と課題について論じています。 首長インタビューは、市民主役のまちづくりに取り組む鹿内博青森市長。社会教育職場で働いた経験から、住民自治を重視し、自然保護など環境問題にも問題意識をもって取り組まれてきた様子が静かではあるけれど、情熱をもって語られています。 大阪からの現場レポート、随想、ブックレビューなど、いずれも「平和憲法を持つこの国のあり方」を問うものとなっています。