『公共サービスのSaaS化と自治体』(自治体研究社)のご紹介
このたび、自治体研究社より本多滝夫・稲葉一将編『公共サービスのSaaS化と自治体』が出版されましたのでご紹介します。
本書は自治労連・地方自治問題研究機構「地方分権研究会」メンバーの本多滝夫氏(龍谷大学)、稲葉一将氏(名古屋大学教授)などが執筆を担当されています。
SaaS(Software as a Service:特定または不特定のユーザーが必要とするシステム機能を、ネットワークを通じて提供するサービス)は、公共サービスや準公共サービスを提供する自治体などにとっては情報システムを一から作り管理する手間を省くことができ、大変使い勝手の良いものです。しかし、使い勝手の良さの反面、自治体だけでなく、サービスの利用者も、SaaS を運用するICT 事業者に住民または自らの個人情報を提供することが前提となっています。SaaS 利用の拡大は、住民の個人情報の脅威になっています。本書では、保育所や母子手帳などSaaS 利用の実際の紹介を通じて、その仕組みを解説するとともに、自治体がICT 事業者とSaaS 利用契約を締結する際に求められる視点を提案します。
【お問合せ・申込み先】
自治体研究社 TEL:03-3235-5941
http://www.jichiken.jp
E-Mail info@jichiken.jp
【主な内容】
1 デジタル社会とSaaS 本多滝夫
デジタル社会とクラウドサービス/クラウドサービスとは/ガバメントクラウドとSaaS の重視/窓口DXSaaS/準公共分野のDX とSaaS
2 自治体保育業務のSaaS 化―その実態と課題― 稲葉多喜生
保育園の基幹業務をシステム化する保育SaaS/SaaS 化で曖昧になる自治体の個人情報保護/海外の保育SaaS は個人情報をどのように取り扱っているか/個人情報の適正な取扱いにむけて
補論 デジタル庁「モデル仕様書(保育業務支援システム)」について 稲葉多喜生
利用規約への同意の現状/モデル仕様書の改善策
3 「マイME-BYO カルテ」による健康医療情報の収集と活用について 神田敏史
「マイME-BYO カルテ」の利用登録と提供サービス、収集情報/個人情報の取扱/SaaS としての「マイME-BYO カルテ」アプリケーションの特徴
4 個人情報保護と同意のあり方―自治体がSaaS を利用する場合の視点― 眞田章午
個人情報保護と同意に関する問題/個人情報保護法と同意/同意の実質化の方法/SaaS 利用と本人の同意のあり方
5 SaaS 利用の契約諸関係が有する問題点と自治体の課題 稲葉一将
調達契約の公共性が問われている海外の動向/SaaS 利用契約の諸関係/ 議会と執行機関との関係
資料 デジタル庁「モデル仕様書」