浪江町での東電との新たなたたかい集団提訴
浪江町では孤独死が増えるなかで自治体の新たなたたかい集団提訴
生存権、財産権、幸福追求権の憲法原則にたって
福祉国家構想研究会公開研究会、岡田知弘京都大学教授があいさつ
福祉国家構想研究会が9月1日に明治大学で公開研究会を開催しました。その開会にあたって、共同代表の岡田知弘京都大学教授があいさつしました。
当日の研究会はインターネットでも中継されています。開会あいさつの岡田先生、講演を行った渡辺治一橋大学名誉教授、後藤道夫都留文科大学名誉教授の要旨は後日研究機構ホームページで紹介していきます。
参議議員選挙で自民党は大きな議席を占めたが盤石な政権基盤はない
夏の参議院選挙で自民党は大きな議席を得ましたが、維新の会は伸び悩み改憲勢力が三分の二をしめることにはなりませんでしたし、東京、京都、大阪で共産党が議席を確保するなどの新しい情勢も生まれました。
非正規や失業問題での青年の関心が高まり運動も生まれています。しかし、8月6日には社会保障制度国民会議が報告書を出し、今後の社会福祉の制度維持可能性を問題にして給付抑制を基調にした改悪を打ち出した。
消費税増税は60人の増税賛成派を集めた有識者会議で増税をすすめようとし、TPPも公約違反ですすめています。7月から本交渉にはいっていますし、アフラックと日本郵政が事業提携を行って混合医療保険の準備を行っています。原発は汚染水が問題になっていますが、その中でも原発再稼働と輸出を成長戦略の一環として進めようとしている。シリア問題でも外務大臣がアメリカに同調する動きをし、集団的自衛権が一体となって動いている。
しかし、国民の支持はない、道州制では自民党による議員立法もできなかった。これは、自民党議員が地域の経済が壊れてしまうとの有権者の声をうけて、地方で反対したから。
新たな市町村合併もできない。選挙制度の関係で議席数は多いが、盤石な政権基盤はない。
浪江町の集団提訴 希望を失って孤独死する住民が震災直接死を上回る中で
福島県の浪江町の馬場町長とお会いしてきた。二本松市内に借り庁舎をおいているが、原発事故に関わる賠償を引き上げるよう自治体が住民の代表となって、ADR(原子力損害賠償紛争解決センター)に集団提訴を行った。それは、原発事故の起こった時に、東電との約束で重大事故の際には情報提供を行うことになっていたのに、全く無かった。役場から福島第一原発までの距離はわずか7キロメートルで、歩いてもこれる距離なのに。
政府の「スピーデイ」による放射能の拡散状況の情報も発表されず、津島地区に1万人以上が避難したが、そこがホットスポットで一番深刻な被災をした地域だった。
福島県内の放射能の健康調査を行ったところ、浪江町の子どもたちの被爆がひどいということが判明した。東電のありかた、国のありかた、対応のしかたが無責任。馬場町長は、憲法25条の生存権、幸福追求権が大事だと言っている。未来への希望を失ったひとが次々と孤独死など震災関連死となり、地震と津波の直後の死者数を上回っている。現時点では浪江町では完全にうわまっている。これは自然災害ではなく政策災害だ。これに対する補償として自治体として国と東電に異議申立を行う。また憲法29条の財産権もある。生きるためには商店、船、農地が必要だ。これをすべて失った。何十年に渡って帰還困難になる。財産権、生存権、幸福追求権を自治体がしっかりと守ることが必要だと馬場町長が言っている。
新自由主義の構造改革に加えて東日本大震災と原発の被災地で模索が行われている。被災した一人ひとりの住民の再建をサポートする。そういうことが全国で行われるように、自治体や国家が変わる必要がある。一部のグローバル企業のために政策や財政が行われるのではなく、主権者である住民のいのちと暮らしを守ることが必要だ。