子ども・子育て新制度 利用希望調査 要保育認定準備へ電子システムなど 動きが急
子ども・子育て新制度 利用希望調査開始 要保育認定へ電子システムなど 消費税増税前提に動きが急
子ども・子育て会議
消費税増税を前提にして、子ども子育て会議が2013年4月内閣府に設置され、7月5日には第4回会議が開催されるなど、新たな保育制度の実施(子ども・子育て支援制度)へ向けて急ピッチで準備が進められています。政府は消費税率5%引き上げのうち7000億円を子ども子育て支援充実のための財源とするとしていますが、増税そのものは10月頃経済動向を見て判断されることになっています。
保育利用希望調査
政府方針(注1)によると、2013年夏から市町村において保育利用希望の調査を実施、2014年の3月までに子育て支援事業の量の見込みを検討し都道府県に報告、2015年3月までに「子ども子育て支援事業5カ年計画(市町村計画)」を作成するとしています。
この保育希望調査は保育の必要性の有無を3歳未満児と3歳以上児に分けて集計され、幼稚園、保育所、認定こども園などの施設型や一時預かり事業など地域型に分けて、保育必要量に見合う保育施設やサービスの確保の方策を計画していくことになっています。
子ども子育て会議地方版も市町村や都道府県で条例により設置されていきます。この計画の段階で長時間と短時間に保育必要量を分けることについては、批判的意見が子ども会議の中でも出されています。
都道府県による認可制度の変更
保育需要を満たすため、19人以下の小規模保育事業や5人以下の家庭的保育事業も都道府県が認可することになりますが、欠格事由該当や供給過剰にならない限り、社会福祉法人以外の認可も行っていくとしています。
保育必要性と保育必要量の認定
新たな制度では、①保育所を利用するためには、保育の必要性のほかに、保育必要量の認定を新たに受ける必要があり、②認定により長時間区分の子どもと短時間区分の子どもに分けられ、両者が混在して保育所を利用することになり、年齢に応じた子どもの発達保障のための保育実践が困難(注2)になります。
この支給認定の仕組みは介護保険の要介護・要支援認定と同じしくみで、保育所などの利用申し込みと別個に支給認定の申請が必要になります。子ども子育て関連法施行の半年前(2014年10月)から認定の申請受付がはじまります。
市町村は、支給認定の申請があった場合には、1号:満3歳以上の保育の必要性なし、2号:3歳以上の保育の必要あり、3号:3歳未満の保育の必要性ありと区分し、2号と3号については保育必要量を「長時間保育」「短時間保育」と区分して認定していくことになります。保育の必要時間を分けることについて、政府は増大している保護者の非正規雇用、パート雇用の実態に合わせるためとしていますが、保育時間の違うこどもの混在での保育面の困難や保育経営の不安定化など大きな問題が指摘されています。また、認定された保育時間をこえる保育は別料金になり保護者負担が増大することも問題になっています。
保育認定の手順
新制度のための電子システム
市町村では、支給認定、施設。事業者の確認、施設・事業者からの給付費の請求に対する審査、支払いを業務を行うための電子システムを構築することが求められ、多額の費用も必要になります。
自治体では、2013年度予算で①地方版子ども子育て会議開催のための経費、②事業計画策定に向けたニーズ調査のための経費、③制度管理システム(電子システム)調達のための経費が確保されていることになっています。(注3)
市町村の事務量は増大 希望の保育所には入れず
新制度でも認可保育所の増設は見込めませんから、希望する保育所に入れない状態が常態化する可能性があります。(注2)
保育所を希望する保護者に対して、市町村の窓口では「保育園はどこもいっぱいだから」と、認定こども園や家庭的保育事業などの利用のあっせん、紹介する事例が増えていくことも考えられます。また、待機児童は解消されないのに、保護者による施設、事業者の選択の問題に置き換わり、自己責任の問題にされてしまいかねません。
市町村では、事務負担が大幅に増大し、保育所だけではなく、直接的契約施設、事業者利用申し込みまで受け付け、利用調整、利用要請を行うことや支給認定の事務も加わりますので、大幅な人員増が必要になります。保育の職場での労働条件の悪化や保育所運営の不安定化も大きな問題です。こうした問題点は引き続きトピックスでも取り上げていきます。
注1,子ども子育て会議(第4回)2013年7月5日基本方針の概要
注2,「子ども・子育て支援法と保育のゆくえ」伊藤周平・かもがわ出版
注3,子ども子育て関連3法説明会 2012年9月18日
(自治労連専門委員 今西清)