No.117 / 2017.02.28 研究と報告117 小田原市の「ジャンパー」問題を機に考えること 田川英信(社会福祉士) 今年1月、神奈川県小田原市の生活保護担当職員が「保護なめんな」などとプリントしたジャンパーを10年も前から自費で作製し、訪問時にも着用していたことが発覚。ジャンパーの左胸には「HOGO NAMENNA(保護なめんな)」と記されたエンブレム、背面には「生活保護悪撲滅チーム」を意味する「SHAT」(「生活・保護・悪撲滅・チーム」の頭文字)の文字とともに、「私たちは正義だ。不正受給してわれわれを欺くのであれば、あえて言う。そのような人はクズだ」という内容の英文がつづられていた。その後、ジャンパー以外にも、ポロシャツやTシャツ、携帯ストラップ、マグカップなどのグッズも作製していたことが明らかになった。 この、小田原市の「ジャンパー問題」について、問題の本質や不正受給の実態、改善のために何が必要か、社会福祉士の田川英信氏が考察する。
No.116 / 2017.02.06 研究と報告116 辺野古新基地建設問題の展開-最高裁判決をふまえて 紙野健二(名古屋大学教授) 12月20日の最高裁判決は、私たちの期待に反し、9月16日の福岡高裁那覇支部の判決の一部を修正したものの、県の上告理由につき、上告に必要とされる理由がないものとして、いわば門前払いをしました。これでこの訴訟は終結したのですが、辺野古問題そのものはまだ終わっていません。それどころか、これからが正念場なのです。そこで、これまでの訴訟を、和解でいったん取り下げられた第一次訴訟、12月20日の最高裁判決で終結したこの訴訟を第二次訴訟と整理し、辺野古問題が今どういう状況にあるのか解説しています。
No.115 / 2017.02.01 研究と報告115 公立保育所の整備・運営にかかる国の財政支援 ―廃止・民営化の理由を「一般財源化」に求めることは不当― 木村雅英 不充分だが保育所の数、定員は増えている。しかし公立保育所は減少している。 保育所の総数が増え、さらに新増設が求められながら、なぜ公立保育所が減少しているのか。 保育需要が増大しているのに公立保育所を統廃合する「理由」として多用されているのが「公立保育所の運営費・施設整備費への国の補助金が“一般財源化”によってなくなったが、私立保育所への国及び都道府県の財政負担は存続しているから」である。 本稿では、第一に市町村が多用する廃止・民営化の「理由」が事実なのかを資料等によって検証する。第二に市町村が公立施設として整備(新設、改築、合築など)する場合、どのような財源確保がありうるかを検討する。第三に保育所等を公立施設として存続・整備する意義を考察する。