書籍紹介　震災復興と自治体――「人間復興」への道
　岡田知弘　自治体問題研究所　編　　自治体研究社　定価(３４００円＋税)

紹介

　本書は、東日本大震災における国の「創造的復興」政策の問題点を批判しながら、被災者の自律的な運動を受けて、基礎自治体を中心に「人間復興」の取り組みが確実に広がっていることを明らかにするとともに、今後の被災地復興のあり方だけでなく、首都直下型地震や南海トラフ大地震の危険が迫るなかで、日本の地方自治体と国がすすむべき道を提起することを課題としている。
　そのため、Ⅰ部東日本大震災と復興政策、Ⅱ現場から問う復興政策、Ⅲ原発災害と復興政策の三部構成をとり、激甚被災三県の自治体政策の比較検討とともに、原発事故問題を独自の問題として位置づけ、原発に依存しない地域づくりの展望も示した。
　本書は研究者だけでなく、被災地において地方自治を実質化させている首長、議員、自治体労働者、住民グループの実践家が共同で執筆しているところに大きな特徴がある。
　また、いずれの部も研究者の研究論文と被災地での実践報告が組み合わされており、それによって被災地での復興をめぐる２年余りの動きを、住民自治と団体自治の視点、国と地方の視点から、立体的にとれることができるように工夫した。
――　　執筆者を代表して岡田知弘さんの「はじめに」より

内容
第一部 東日本大震災と復興政策
第二部 現場から問う復興政策
第三部 原発災害と復興政策

著者
宮入興一　愛知大学名誉教授
川瀬憲子　静岡大学教授
佐藤一則　岩手自治労連委員長
井上博夫　岩手大学教授
塩崎賢明　立命館大学教授
滝澤　肇　宮古市総務企画部復興推進課長
斎藤　信　岩手県議会議員
福島かずえ　せんだい市民自治研究会
吉田敬一　駒沢大学教授
綱島不二雄　復旧・復興みやぎ県民センター
くわ田但馬　岩手県立大学准教授
千葉哲美　気仙沼本吉民主商工会
鈴木　浩　福島大学名誉教授
馬場　有　浪江町長
安斎一男　二本松市復興支援共同組合
小川英雄　福島自治体問題研究所
除本理史　大阪市立大学教授
立石雅昭　静岡大学名誉教授
保母武彦　島根大学名誉教授