季刊 自治と分権

記事詳細

No.85 /
2021.10

季刊 自治と分権 85号

 世界経済フォーラム(WEF)が国別に男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数2021」で日本は、調査対象となった世界156カ国中120位で、先進国の中では最低です。ジェンダーの問題が歴代の政権や財界などによって放置・助長されてきたことにより、今日の政治や社会と文化、国民生活のあらゆる分野で深刻な人権侵害をもたらしています。コロナ禍の下で、日本のジェンダー不平等が一層浮き彫りになっています。支配者によって歴史的に作り出されてきた「男らしく」「女らしく」という強制から脱却し、日本国憲法に基づく基本的人権を誰もが享受できるジェンダー平等の社会を実現させることが日本の社会において欠かすことのできない重要な課題になっています。本号では、ジェンダー平等を実現させるための課題と、自治体に求められる役割について考えます。

 85号は、特集が「ジェンダー平等と自治体」。

 特集論文は、「日本のジェンダー平等と地方自治体の課題」辻村みよ子(弁護士・東北大学名誉教授)。「自治体職場における女性活躍とジェンダー平等の実現に向けて」清山玲(茨城大学教授)。「コロナ禍、深刻化する女性の貧困」小尾晴美(中央大学助教)。「LGBT/性的マイノリティと人権 ―誰もが尊厳をもって生きられる社会を―」谷口洋幸(青山学院大学教授)。

 随想で河合克義・明治学院大学名誉教授は「「健康で文化的な生活」をすべての人に実現できる社会的基盤を考えなければならない」と。

 首長インタビューは、鹿児島西之表市・八板俊輔市長。西之表市ではいま、馬毛島への米軍基地建設が大きな問題になっています。基地建設は「失うものの方が大きく、同意できない」という立場を表明する八板市長。基地によらず、地域の豊かな自然などオリジナリティのある資源を活かした持続可能なまちづくりを進めています。

 シリーズ自治の歴史と文化は、埼玉・秩父事件。鈴木義治氏(秩父事件研究顕彰協議会副会長)は、「秩父事件95周年に江村栄一法政大学教授が「秩父事件は、中江兆民のいう『生活の権』(生存権)と、植木枝盛のいう抵抗権・革命権を結合させ、現実に行使したものである。ここに最高の激化形態といわれる秩父事件の歴史的意義があります」と講演している。それは日本国憲法への道といえる」と。

「季刊 自治と分権」85号の内容は下記のとおりです。

 

 1) 随想 「健康で文化的な生活」をすべての人に   河合克義(明治学院大学名誉教授)

 2) 首長インタビュー      鹿児島西之表市長 八板俊輔さん

                   インタビュアー 永山利和(元日本大学教授・「自治と分権」編集委員) 

 3) 特集  ジェンダー平等と自治体 

    「日本のジェンダー平等と地方自治体の課題」  辻村みよ子(弁護士・東北大学名誉教授)

    「自治体職場における女性活躍とジェンダー平等の実現に向けて」 清山玲(茨城大学教授) 

    「コロナ禍、深刻化する女性の貧困」      小尾晴美(中央大学助教)

   「LGBT/性的マイノリティと人権 ―誰もが尊厳をもって生きられる社会を―」

                         谷口洋幸(青山学院大学教授)                   

 4) 論文 

「自治労連におけるジェンダー平等の実現をめざして」田頭愛美(前自治労連中央執行委員)

「「住民のいのちとくらしを守りきる」ための3つの政策提言案について」 

                         小泉 治(自治労連中央執行委員) 

 5) 現場レポート

「スーパーシティの憂鬱 ~ユートピアかディストピアか~」 良知信一(浜松市職員組合執行委員長)

 

 6) 弁護団レポート 「りんくう総合医療センター割増賃金請求事件で勝利和解成立」

                         増田 尚(弁護士)

 

 7)  自治の歴史と文化 第6回 「「圧政を変じて自由の世界」を求めた秩父事件」 

                         鈴木義治(秩父事件研究顕彰協議会 副会長)

 8)  ブックレビュー

 9)  自治体日誌