2006年10月31日(火)
日本で一番美しい村連合ー美瑛町の挑戦
●『自治と分権』の首長インタビューと取材で北海道は美瑛町に行ってきました。フランスの世界で一番美しい村連合の存在に「刺激」され、2005年10月に7つの町村で、「日本で一番美しい村連合」が発足したことはご存知だと思います。
当研究機構の「メルマガ」でも、発足当初の状況を報道し(確かにすばらしい景観や歴史を持っている自治体が参加をしていることがわかるので)紹介をした記憶があります。
浜田町長へのインタビューに先立って、企画調整室長からその経緯や町の概略をご教示いただき、しかも、車で町の中を案内までしていただきました。感謝、感謝の一日でした。
●当然のことですが、私どもは首長インタビューに限らず、自治体の調査やヒアリングを行う際には、事前にかなりその自治体のことを調査をします。インターネットが発達してきたので、自治体の「計画」や行政の特徴などは、比較的簡単に知ることができます。自治体によっては情報公開なども進んできていまsので、財政や資産の状況などもかなり知ることができます。
実は、それだけではなく、私が財政学の専門であることから、全国の自治体の財政状況のデータベースも何年かかかって構築して来ています(本当は、総務省などが率先してやるべきなのでしょうが、多くの人力と労力を費やして、1963年以降の全国ベース<都道府県、市町村>のデータを構築しました。また、日経新聞のデータベースなども活用しています。
そのうち、このデータベースを公開しようと思っているのですが、数字の一桁間違いとか、グラフにするとすぐわかる間違いが多少残っており、まだ踏み切っておりません。
●さて、美瑛は旭川から美瑛線で30分程度で着くのですが、まず「どういう服装をしていくか」悩みました。ネットの天気予報では、最低気温マイナス2度、最高気温7度とか言っています。現地に問い合わせをしたところでは、「東京からくるなら、ともかく真冬の格好をしてきてください」ということで、多少大きめのバッグに皮のコートやセーターをいれ、資料ともども臨月状態のバッグを持参することにしました。
実は、私は美瑛は初めてではなく、「何度となく」通過してきた経験があります。スキーをやるかたならご存知だと思いますが、富良野という最高のスキー場がありますが、これは旭川から美瑛線で行くことになります。ですから、私は美瑛という名前も駅も「地形」もよく知っているのですが、「真冬」限定でしか、その美しい町をみたことがなかったわけです。一面雪の白銀の世界しかしらなかったわけです。
絵はがきなどでは、ラベンダーの花や四季の色とりどりの木々の姿をみていたのですが、雪景色以外の風景を見るのは、今回が初めてでした。
●さて、前置きが長くななりましたが(とういうか、今回のブログも全体が『自治と分権』の前置きなので、インタビューの本文は、『自治と分権』をお読みいただきたいと思います。今回のブログは、インタビューのあくまで「周辺事態」にとどまり、「武力攻撃事態」などはありません。
浜田町長のお話を聞いて、一番感心をしたのは、美しい村連合の「発想」が、「過疎地帯の生き残り」とか、合併しないでなんとか「一旗」というような「思いつき」「安易」な発想ではなく、地方自治・自治体の大道を行く発想と理念に基づいていることでした。
美瑛は現在人口1万2千人ですが、昭和35年高度成長が始まったころの人口は2万2千人です。まだ、このころは、エネルギーも石炭の方が石油より多く、農業の人口も相対的に一番多かったころです。時代は変わり、エネルギー政策の転換、高度成長、農村から都市への人口流出などが、「当然」のようになり、都市は都市で汚染や環境破壊、農村は過疎と経済停滞とい状況が始まったわけです。
●美瑛では、合併についてはそれ自体を否定する立場でないと伺いましたが、結果として合併にはいたっておらず、また、リゾート建設などもそれに便乗しようとはしたものの、結局、うまくいかず(これがむしろよかったと町長さんは、仰っておりましたが、本当は運がよかっただけではなく、ある程度の先見の明があったのだろうと、お話を聞いていて思いました)、本格的に住民が住み続けることができる「まちづくり」や環境の保持、第1次産業=農業を中心にすえたまちづくりができないか、といろいろと模索されたようです。
こういった中で、前町長の時から始まり、今の浜田町長が進めた「美瑛駅」周辺の区画整理なども進み、30年間930億円をつぎ込んだ白金ダムなども思い切って見直し、土地改良事業も立ち上げるなど、様々な面で意欲的に行政の転換を図ったということでした。
「美しい村」というのは、まずドイツに行き、農水省も一緒に視察に行ったということでしたが、国がどこかを指定して、「美しい」というブランドをつけるような発想は、「ちょっとなじまない」「自治ではない」ということで、美瑛のジャガイモを原料にしたチップを作っている企業にも協力をしてもらって、住民、企業、自治体の協力による「まちづくり」農業づくりという発想で、フランスに調査に行ったということでした。
ここで、出会ったのが「世界で一番美しい村運動=国際連合」で、この調査のあと、1年から2年かけて、本当にこういう連合に相応しいかどうか調査、検討をして、日本で30箇所くらいをピックアップして、職員が調査をしたということでした。
●ところが、日本はこの時分には、「市町村合併のピーク」で、目をつけた自治体も合併をしてしまって、なくなるなどの事態が続き、10箇所に絞った調査も、「失敗」とい結果になってしまったそうです。
そこで、町長自ら3つ4つの自治体の村長さんなどに電話をして、集まってもらい、真意を話して「ぜひやろう」とうことで最終的に7つの自治体で「名乗りを上げた」というのが経過でした。
私が、たいしたものだと思ったのは、なんとなく過疎の自治体の「うりこみ」や「いきのこり」という否定的な発想ではなく、景観は文化であり、農業の基盤であり、自然との共生なしに地域を維持していくことはできないという「哲学」がしっかりとあることでした。
ネットで自治体のページを見ているだけでは、わからない話で、「やはり、こういうすごい取り組みをする自治体にはサムライがいるわけだ」と妙に感心をしてしまった次第です。
●町の「直営」のホテルに泊まり(ふれあい館ラヴニール)、隣接する農協の倉庫だった建物を改造したレストランでエゾシカのステーキを食べ、美瑛のじゃがいもでつくったうどんや、サラダなどを満喫いたしました。また、その際の写真などは東京に帰ってから(まだ札幌におりますので)、公開をいたします(笑い。
まずは、現地のレポートということで、忘れないうちの「備忘録」として記しておきます。

上の写真は、ふれあい館ラヴニールの隣の農協倉庫を改築したレストランで食した「えぞ鹿の焼き肉」

