2005年01月03日(月)
韓国ー「公務員労組法」国会を通過(04年12月31日)
●12月31日、公務員労組法が韓国国会を通過した(「公務員の労働組合設立及び運営などに関する法律案」、10月に国会提出)。議員298人中259人が投票し、 賛成193、反対48、棄権18票で可決した。これによって、公務員労働組合は「合法化」されたが、これまで、民主労総や公務労組などは、労働三権を保障するものではないとして、ストライキを含めた闘争を展開してきた。また、交渉不成立の際の「強制仲裁制度」も憲法違反であると批判をしてきた。
その内容は、団結権と団体交渉権を保障するものの、 争議行為が可能な団体行動権は認めず、政治活動の禁止も含んでいる。また、予算や法律・条例などにふれる「管理運営事項」など、交渉の対象にならない事項をかなり広範に含んでいる。2002年3月に非合法組合として発足した韓国公務労組(KGEU)は5級以下の公務員6万5000名が参加しているが、今回の公務員労組法では、労組の加入範囲を6級以下の公務員とし、 軍人や警察、消防、外交官など除外し、 労組専従には賃金を支給しないことにしている(5年間の専従)。
これまで、韓国の公務員の労働基本権問題は、ILOやOECD-TUAC(経済協力開発機構・労働組合諮問委員会)などの場で、議論をされ、国内外の運動が展開されてきたが(韓国労総などが申し立て。この点では、日本の「公務員制度改革」に関するILOにおける議論などと同様)、昨年の11月にはILOの結社の自由委員会は、政府の法案について「管理・監督権限を有する公務員が他の一般公務員の組合に所属する権利を制限すること自体は、結社の自由原則に反するものとはいえないが、その場合は、1)他の労組を結成する権限を認める、2)管理・監督権限を有する公務員の範囲を特定する―等が条件となる」として、5級以上の広範な公務員を公務員法から完全に除外する改正法案を、結社の自由原則に反するものと位置づけている(韓国では、5級は、中央官庁の一般職と地方官庁の課長クラスで、6級は地方官庁の係長クラスに相当する職員である)。また、消防・警察職員の団結権については、「警察職員及び軍隊への団結権の除外は容認されるが、消防職員の団結権のみならず団体行動権も認めるべき」としていた。
ストライキ権の制限もしくは禁止が認められるのは、1)国家権力の名のもとに権限を行使する特別な業務にあたる公務員、2)厳格な定義で、公務の性質上、その中断が国民全体の生活、安全、健康を脅かす危険がある重要な業務にあたる公務員(略)であり、消防職員は、それに該当しないとの見解を示している。さらに、改正労働組合及び労使関係法71条2項が挙げる広範な「重要公務リスト」についても言及し、スト権制限を受ける公務員の範囲を最小限に留めるよう求めている。ILOは、改正法案における公務員への団体交渉権、団体行動権を含む労働基本権の完全付与に向けて、政労協議を踏まえたうえでの早急な是正措置を講じ、進捗に関する情報提供を行うよう韓国政府に勧告していた。
●全国公務員労組(これまでは「非合法」)やこれを支援する労組、また民主労総なども、労働三権の保障を要求して座り込みやハンストなどを展開してきたが、かなり大きな弾圧の下で、困難な闘いを余儀なくされてきた。
今後、この公務員労組法の成立を受けて、公務員労組は、全教組などとの連帯闘争(教員は2000年に団結権を付与されている)を進めていくと思われるが、現実の法律に対する対応については、今日の時点で明確にされていないようである。60万人の公務職員のうち、国家公務員の一般職が法律の適用を受けない場合、組織的には大きな問題であろう。
韓国はILO87号条約等を批准していないが、引き続き、結社の自由委員会において、追及の課題となって行くと思われる。
一方、視野を変えて、今回の法案成立を眺めてみると、微妙な問題もあるが、日本の公務員の立場が「韓国以下」になってきたことも否定できない。
韓国の運動も、政府の「弾圧」のみではなく、国民の支持という点で、様々な弱点が露呈していた事も事実である。しかし、今日の労働運動の国際的な低迷の中で、「非合法組合」がハンストや首都への上京運動、実際のストライキ行使の決意などをもって、運動を進めてきた事実は、日本の労働運動にとっても重いものであろう。
●今日の韓国の労働運動と日本の労働運動を比較してみると、「構造改革」や新自由主義との闘いにおいて、大きな差異があることに気づく。韓国労総と民主労総が、統一して規制緩和や「特区」制度に反対してきた運動の「到達点」を見れば明確である。
日本においても、これらの韓国労働運動から何を学ぶのか、真剣な議論が望まれる。公務員制度改革問題も、韓国の運動と連帯をして、アジアからグローバルな運動情報の発信を行う必要があるだろう。
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