2005年05月18日(水)
環境100年計画ー岩手県紫波町
●『自治と分権』第20号の首長インタビューで岩手県紫波町(しわちょう)の藤原孝町長にお会いをしてきました。インタビュー(三橋良士明静大教授)の内容は、是非、『自治と分権』次号(6月末配本)をご覧頂くとして、今回は、紫波町そのものを紹介をさせて頂くことにします。
紫波町は、岩手県盛岡市の南にあり、盛岡と花巻の中間に位置します。高速道路で盛岡インターから入ると、2つ目で約20キロです。盛岡市は、中核市を目指して、周辺の自治体との合併を指向して、紫波町の北にある矢巾町や滝沢村などにも働きかけてきた経緯があります。結局、盛岡市は北にある玉山村と合併をすることになり中核市に「昇格」する予定ですが、30万人ギリギリであることから、事業所税の導入も断念をしたようです。
さて、色々と合併話しもある中で、紫波町は合併をせずに(人口は3万4千人程度)、「循環型まちづくり」→「環境と福祉のまちづくり」を目指す方向です。紫波町の産業はの中心は農業や牧畜で、良質の餅米や「紫波牛」などで知られています。また、地元の木材(あかまつ、すぎ、からまつ、くりなど)を使用して建築した(地産地消)の「上平沢小学校」の紹介記事などを通じて、紫波町をご存じの方もおられると思います。
●今回は、エコ3センター→上平沢小学校→虹の保育園→道の駅(産直センター)→紫波中央駅などを拝見をして来ました。
紫波町は、ホームページも大変良くできているので、参照してください。
循環型まちづくりを標榜するだけはあって、エコ3センターは、家畜の糞や食物残渣から有機肥料をつくったり(最近は、農家から牛などの家畜の糞を回収して、有機肥料をつくり、これを農家に戻すという循環が増えていますが、紫波町では食物残渣を含めたサイクル確立になっており、貴重な存在です)、木材のチップからペレットという燃料を製造しています。
『自治と分権』のインタビューで、岩手県の増田知事が環境にやさしいペレットストーブの紹介をしております。
●紫波町立「上平沢小学校」(写真参照)は、地元の材木を使用して建てた、木造の校舎です。天井の梁や床はアカマツ、柱や壁はスギなどをつかい、木の香りが漂う、羨ましいばかりの建物です。
校長の花篭先生にお話を伺い、どういう経緯で、町内産の木材で校舎を建てたのかがよく分かる「DVD」も拝見をして来ました。7億5千万円の費用だということでしたが、7割以上は地元に環流し、大工さんや地元の建設業・製材業などの再活性化や相互交流、まちづくりのNPOの発展などに帰結をしているということでした。人間中心の生きた「波及効果」だと感心を致しました。
広い校庭、周囲に山と田んぼが拡がる田園風景に見事に馴染み、子どもの学びに最適な環境が形成されていると言って過言ではないでしょう。音楽室(音楽堂と言えるような)の天井は高く、見上げた梁の上の窓から入る日光が、円形の室内のしろい壁を照らし、音楽が心にしみいるイメージがわきます。
ちょっとした音大のオルガン室と言った風情です。
校内で、子どもたちと何回もすれ違いましたが、みんな笑顔で元気よく挨拶をします。DVDを拝見した部屋には、英語が書いてあるので、「おや」と思っていましたが、実は、小学校でも外国人の先生が英語を教えているということで、後で町長に伺って納得をしました。この辺は、町長インタビューでお話がありましたが、「教育特区」などの「ピン芸」とはちょっと違った意味がありました。
この小学校には、「学習林」もあり、木を切ったあとは、自分たちで植林して未来に残すという話しも、東京の都心で生まれ育った私には、羨ましくもあり、また感心も致しました。
●虹の保育園は、社協が運営する保育園ですが、小学校の広い校庭を挟んで向かい側にあります(移動するのに、車で行きました<笑い)。
ここを拝見した後で、町長さんにお会いし、その後、産直センターを町の職員の方に案内をして頂きました(高橋さん、ありがとうございました!)。8つある産直センター(道の駅)で、一番大きいセンターでしたが、平日の夕方にも拘わらず、広い駐車場にそれなりの数の車が止まっておりました。
餅米でつくった「おかき」や漬け物(みな、生産者の名前が書いてあります)、タラの芽などを買って来ました。ついでですが、山ウドや「しどけ」も美味しかったです♪
●最後に、紫波中央駅(これも木造の新しい駅です)を見てきました。駅を写真に撮そうと思ったのですが、真ん前に、最近はあまり流行らない「シャコタンの改造車」とお兄さん二人が陣取っており(笑)、ちょっと気後れをして、よいアングルを確保できませんでした。駅の周りは、すぐそばから「住宅」で、県の住宅公社の分譲地もかなり売れているようでした。駅の「前」、高速道路まで一本道、盛岡まで15分という環境です。第三セクターのラ・フランス温泉館も近いし、特養ホームも二つあります。今回は、老後の「すみか」として、かなり心が動きました(笑)。
紫波町の「すごい」ところは、環境とか福祉というのが「ピン芸」ではなく、100年後の子どもにまちを残すという理念が、かなり深く浸透していることだと思います。最後に、『紫波2100ー環境100年計画』の巻頭にある町長の「新世紀未来宣言」を紹介しておきます。
☆日本文化の源流は農村の山ひだにありました。
森の中から水が湧き、人々は集い
集落を形成し、自然と共存し、
自然を崇拝してきました。
厳しい自然に耐えた集落には、
先人の知恵の結晶ともいうべき
生きるための哲学があり、
連綿と伝えられてきました。
☆モノを粗末にすることは、
すなわち生命(いのち)を粗末にすることにつながります。
モノを大切にするこころ、生命を育むこころ、
郷土の文化と伝統を伝えていくこころを
100年後にも引きついでいきます。
母が見た風景を、浴びた陽の光を、
そして紫波の環境を100年後の子どもたちに
よりよい姿で残し伝えていきます。
紫波町長 藤原 孝


