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 2005年02月27日(日)

秋田県湯沢市と羽後町の行方①

秋田県湯沢市と羽後町を訪問した。新幹線で盛岡経由・大曲から奥羽本線に乗り換え、「快速」だと33分、各駅停車だと40分で「湯沢」に到着する。秋田県南の内陸で豪雪地帯でもある。今回も何年ぶりかの「大雪」で、少し市内を離れると道路の交差点では、左右からの車が全く見えない状態もあり、除雪をはじめ日常生活への支障が感じられた。
 今回は、「財政分析」を主題として、市や町の職員や組合からヒアリングを行ったり、学習会を行ったりするのが、訪問の目的であった。

 湯沢市は、既に2年前の2003年4月に周辺の稲川町、雄勝町、皆瀬村と合併協議会(任意)を設立して、議員の在任特例問題など「若干」のゴタゴタを除いて、かなり順調に「合併」に向かって進んで来ていた。財政問題を別にして、「共産党員市長」である鈴木俊夫市長の下で、市町村合併が如何にして「推進」されてきたのかについても興味があった。実は、この「疑問」は同市の加藤議員の言葉によって「簡単に解けた」のであるが・・・それは、一言でいえば、「合併に対する対応は住民の意思によるのであって、政党や議員がごり押しをするようなものではない」というごく当然の話であった。
 
 このこと自体は、誰も反論できない自治の原理である。しかし、実際には、合併がもたらす「デメリット」を「克服」できるのか、合併しないという選択が可能か否かという「客観的」な分析などが「存在」しなければならないと考えるのが「常識」であろう。こういった認識やデータぬきに住民にその「意思」を問うても、答えようもないし、極論すれば悪しき形式民主主義に堕するということも容易に理解できる。

 問題は、合併をめぐる「メリット」「デメリット」(私自身は、こういった並列主義的な「箇条書き方式」は大嫌いなのであるが)を客観的に示し、また、問題点を「克服」する手法・方向が「客観的」に示されているかどうかにあろう。正直いって、こういった指標は、現在の日本の自治体全てにおいて、認識不可能であろう。「三位一体改革」の今後の行方を見定めることは、現時点で不可能であるし、財政状況なども「落石注意」の立て札と同じで、「クビをすくめる」程度の対応しかできないからである。大げさにいえば「自己決定」できない状態の下での「自己決定」の強要という事態である。

 こういってしまうと、「終わり」になってしまうのだが、実際には、自治体の対応には「ベスト」はないが、「セカンドベスト」や「ベター」は存在する。住民参加や住民投票、丁寧なアカウンタビリティの保障などがそれに該当する。しかし、これとて、自治体当局の「責任逃れ」や「住民への押しつけ」に帰結する恐れを否定できない。

 そこで、湯沢市の合併問題の最大のポイントが情報公開にあることを述べておきたい。実は、先にふれた「任意協議会」から始まって、市(合併協議会)のHPに、議事録が全て掲載され公開されている。これは、全国の合併協議会でも珍しいことである。第1回の協議会で、稲川町の遠藤町長が「任意協議会」において、財政計画や新都市計画の問題に踏み込んで議論するのは、越権行為であり、そんなことを議論するのなら正式の協議会を立ち上げるべきであるという、誠に理路整然とした「スジ論」(失礼!)を展開していた。これに対し、他の委員からは、「任意協議会」である程度の議論がされないと、議会に帰って報告のしようがないではないか、なにもない状態で正式な協議会をいきなり設立するのはイメージが湧かないと、これまた「説得力」のある「反論」がされていた。

 これが「堂々巡り」をして収拾がつかなくなってきたころ、他の委員から「休憩をとって、すこし非公式に腹を合わせたらどうか」というような「水」が入り、議事録は「・・・休憩」となった。思わず笑ってしまったのは、休憩後再会された「議事録」では、上記のような堂々巡りは終焉し、「異議なし」の連発で、あっけなく第1回の協議会が終わったことである。休憩中の議論の「議事録」を公開してもらえると、「異議なし」の謎は解けるのかな~と興味が湧いた(笑)。同時に、「ここまでやるか」と議事録公開の「公明」さに感心をした次第である。こういった議事録を全部よむ住民は恐らくいないだろうが(私のようなマニアックな人間を除いて)、すくなくとも「おかしな言いがかり」や「エゴ」で合併問題が歪められる可能性は低くなると強く感じた。

 さて、財政問題で言えば、公債費比率・起債制限比率は1980年代末期から一貫して低下しており、現在でそれぞれ10%以下、6~7%程度と「健全」な姿になっている。比較的早い段階から公共事業を抑制し、民生を中心にした行政展開を行ってきたことがわかる。「ユートピア(雄湯郷)」計画(特養、病院、子どもセンター、温泉などの複合施設)など、やりようによっては危ない時期もあったが、鈴木市長の下で堅実な行政展開が行われ、今日に到っている。

 課題と言えば、下水道の普及率が26%と低く、普及のための経費が近年、一般会計を圧迫している点くらいであろう。分譲住宅地なども、かなり売れている(問題点は後で指摘したいが)。合併特例債は80%位を見込んでおり、今後、特養ホーム(社会福祉法人委託)建設や学校の改築など事業が山積している点と合わせると、財政は「危機管理」の様相を呈するが、必要な施設であるから、進行管理さえ堅実なら問題はないであろう。

 一方、羽後町はつづき(次回ブログ)の②でふれたいが、合併をしないで「町」として存続させたいというのが、基本的な方向になっている。それも、かなり早い時期から町長が明らかにして、住民サイドもコンセンサスが形成されようとしているかに見える。昭和の合併の際に6村が集まって「羽後町」となり、かなりのギクシャクを経て今日やっと「まとまり」がついて来たので、それをまたカオスの状況に戻したくないとの思いが強いようであった。
 
 財政的にみると、「自立」などはできっこないわけであるが、現在の行政を見ると、それなりに安定しており、農業の振興や企業誘致、高校生のインターンシップなど、そこここに工夫が見られる。赤字に転落したものの、羽後町立病院(168床)も、町の財政逼迫にはつながっていない。病床の拡大と診療科目の拡大が一時的な赤字につながっていると判断できなくもない。まずは、堅実な運営とみて大きな間違いはないだろう。

 さて、湯沢市はこの3月22日に合併するし、市長選挙や議員選挙の日程も決まっており、この方向で邁進すればよい。羽後町は、住民と共に、合併しない選択について合意を形成し、「小さくとも輝く自治体」をめざす必要があろう。両自治体の未来は、三位一体改革や今後の自治体再編の「全国的」な動向に左右されるだけに、どちらの方向を選択しても、大きな運動が展開される必要があろう。

 この二つの自治体の対応は、合併を軸にしてみると「対照的」であるが、実は、両自治体の「最大の問題」は、そこにはないと私は考えている。
 湯沢駅から中心の商店街を見ると、典型的な「シャッター通り」であり、駅から2~3分のジャスコさえ取り壊しをしていた。この原因は、二つの自治体の役場を結ぶ、真ん中に高規格道路の「湯沢インター」ができていることと関係する。これについては②で取り上げたい。とりあえず「謎解き」としておきたい(笑)。